ひとり暮らしはじまる

今日から一人暮らしがはじまった。同居人が別居人になったから。

「お茶」といえばお茶が出てくるシステムが使えなくなる。朝からマヨネーズで囲いを作って温泉たまごとシュレッドチーズをのせて焼いたヘビー級のトーストが自動で出てこなくなる。部屋が散らからなくなる。汚れなくなる。寝転がってスマホでネットサーフィンしてると「足を上げろ」と言われなくなる。特に興味のないゲームや小説や漫画のあらすじを止めどなく聞かされなくなる。虫の居所の悪い時に素人だったらそれとわからない暴言を吐かれずに済む。ふざけたいときにちょっかいをかける相手がいない。

今「ちょっかい」ってもしかして漢字があるのでは?と思って変換キーであるところのスペースキーを連打してみたけど漢字ないみたい。

 

ああ。

つまんないわあ。

 

別居人は毎日たくさんコーヒーを飲んでいたのでだいたいいつも部屋はコーヒーのにおいがしていた。私は子どものころから大人になってからもずっとコーヒーのにおいや苦みが好きでないのだが、本日冷蔵庫に牛乳が残っていて、牛乳も苦手でそのまま飲まない私はコーヒーぎゅうにゅうを作って消費することにしました。

コーヒーを入れるとコーヒーのにおいがして、牛乳をどぷどぷと投入してカップに口をつけたとき、別居人の風味がした。

コーヒーを入れてるときとかに部屋に漂うにおいと違うもので、なんか同居人の人体から放出されてるにおいというか風味というか(食べたことないけど)、が、しました。

 

長らく人と暮らしていると一人のときの集中とかしずかな心もちとかがないのが通常になってしまって、むこうがこちらに合わせたりこちらがむこうに合わせたり、もちろんそれが可能な人だから一緒に暮らせるというのはあるんだけどやはり窮屈に感じたり不自由に思ったりすることがあると思う。私も当然ある。

私と別居人は恋人ではないし結婚もしていないし、互いの親兄弟に紹介もしていなければ二人の間に子どもがいるわけでもなく、要するにお互いに努力して一緒にいなくてはならない相手ではない。

別居人が別居人である間は、私もやつがいるからできないとやらずにいたことをやってこまそうと思っている。取り急ぎ本日は鶏がらスープを炊いている。